熊本県議会 > 2022-06-10 >
06月10日-04号

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  1. 熊本県議会 2022-06-10
    06月10日-04号


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    最終取得日: 2023-05-26
    令和4年 6月 定例会               第 4 号              (6月10日)  令和4年   熊本県議会6月定例会会議録     第4号令和4年6月10日(金曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第4号  令和4年6月10日(金曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに  県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            増 永 慎一郎 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○副議長(髙野洋介君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○副議長(髙野洋介君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 髙島和男君。  〔髙島和男君登壇〕(拍手) ◆(髙島和男君) おはようございます。自由民主党・熊本市二区・髙島和男です。 足かけ3年にわたるコロナ対策で、国の財政状況は一段と悪化しました。また、ロシアのウクライナ侵攻で、石油をはじめとした資源や穀物価格の高騰、追い打ちをかける円安、スタグフレーションの懸念など、日本経済は、依然として先行き不透明です。そして、先月、財務省は、国の借金が初めて1,000兆円の大台を超えたことを明らかにしました。 国の予算編成に際して、財務省の方針を最も体現するのは、財政制度等審議会の予算の編成等に関する建議です。令和4年度建議の地方財政の課題によると、コロナ以降、一刻も早く財政の正常化に取り組まなければならないとし、コロナで国から地方への多額の財政移転により、プライマリーバランスについて、地方の改善と国の悪化が進んだとしています。その上で、全体を改善するには、地方財政歳出抑制が必須であると強調しています。 国の一般会計歳出で、地方交付税等は、社会保障費に次いで大きいことから、この先、自治体は、厳しい財政運営を余儀なくされることを念頭に置かなければなりません。 さて、私を含めて、議員各位、執行部におかれては、年に1度あるいはもっと頻回に健康診断や人間ドックを受診されていると思います。それは、数値化することで体の現状を把握することにほかありません。また、体調管理によって、活動の量や範囲、生活設計を立てることが容易になり、新しいことへチャレンジする意欲も湧いてきます。 人間同様、自治体も、日頃から数値を丹念に読み解いて健康状態を点検する必要があり、それをつまびらかにするのが、決算カード財政状況資料集です。必要不可欠な県民サービスを行いつつ、次世代に健全な体質でバトンを渡すことが、私たちに課せられた使命です。 初日、岩下議員から、財政全般の質問がありましたが、私は、角度を変えて、経年変化や類似団体との比較指標を通して、本県財政の現状と将来についてただします。そのほか、万一の際の県民保護、今年度開始された施策についても伺いますが、まずは財政調整基金についてお尋ねします。 財政調整基金は、年度間の歳入と歳出の変動に備えるための貯金であり、自然災害感染症対策など、緊急かつ多額の対応が必要とされるときの備えでもあり、一般的には標準財政規模の10%程度が目安とされています。ついでながら、本県の令和2年度決算の標準財政規模は約4,260億円です。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、本県が属する類似団体財政調整基金の令和2年度の現在高を示したものです。 他の自治体と比べて、著しく少額であることが分かります。ちなみに、貯金という観点では、県民1人当たり1,000円となります。 財政調整に使う基金は、主として財政調整基金ですが、本県は、職員等退職手当県債管理県有施設整備の3基金を含めて財政調整用4基金と称しています。この呼称は、他の自治体にない独自のものです。 職員等退職手当県債管理の2つの基金は、将来の支払いの際に必ず必要になり、県有施設整備基金は、施設整備という明確な目的があり、いずれも財政調整に使える文脈で用いるのは望ましいとは言えません。なぜ4つを合算して財政調整用4基金と称するのか、理由をお尋ねします。 次に、決算カードによると、平成19年度から令和2年度までの15年間、本県の財政調整基金残高は、常に17から18億円前後で推移し、地震や豪雨災害の前後もほぼ変化ありません。積立目標額とその理由並びに取り崩す基準について。 以上2点、総務部長にお尋ねします。  〔総務部長平井宏英君登壇〕 ◎総務部長平井宏英君) 1点目の財政調整用4基金についてお答えいたします。 本県では、平成13年2月の熊本県財政健全化計画策定時において、財源として活用し得る資金を有していた4基金を財政調整用の基金に使用することとし、その後、一定額確保することを目標にしてまいりました。 この財政調整用4基金のうち、財政調整基金以外の基金につきましては、退職手当の支給や県有施設の整備、県債の償還の財源に充当する目的で設置したものです。 財源不足が生じる場合には、毎年度生じるそれぞれの目的に応じた必要額に対して、一般財源の代わりに基金を使用することで対応しております。 このようにして、財政調整基金以外の3基金のそれぞれの目的を阻害することなく、財政調整に使用してきたものでございます。 次に、2点目の基金積立目標額について。 財政調整基金単独の目標はございませんが、蒲島知事の任期中は、財政調整用4基金で80億円程度を確保することを目標に予算編成等を行っております。 熊本地震や令和2年7月豪雨の発災直後、国の支援を待たず、財政調整用4基金を全て取り崩して迅速な対応を行いました。 大規模災害時における初動時の緊急対策に必要となる基金の規模がどの程度かは一概には申せませんけれども、これまでの経験を踏まえ、熊本地震発生前の水準である80億円程度の規模を目指しております。 また、基金をどの程度取り崩すかは、予算編成時の財源不足の状況や大規模災害時など、不測の支出の発生に応じて、その都度適切に判断しております。 令和2年7月豪雨の際は、一時的に枯渇しましたけれども、災害からの復旧に対する国の手厚い支援に加え、事業の選択と集中の徹底など、県独自の歳出削減努力を重ねたことで、令和4年度当初においては54億円を確保しております。 今回いただきました議員の御示唆も含め、県政を取り巻く環境変化に留意しながら、今後とも基金残高の確保と適切な運用に努め、持続可能な財政運営を行ってまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 執行部の説明では、常に財政調整用4基金と一くくりにされますが、今回初めて3つの基金の存在を知りました。しかも、令和4年時点の4基金の合計54億円の内訳は、財政調整基金が18億円、県債管理が34億円、県有施設整備は2億円、職員等退職手当は、平成18年から残高はありません。つまり、事実上、財政調整用3基金の状態にあります。 繰り返しますが、基金には、それぞれの目的があります。京都市が現状に至った理由の一つに、本県で言う県債管理基金に慢性的に手をつけていたことが挙げられます。 災害直後、4基金全て取り崩したとのことですが、本来、そんないざというときのための財政調整基金のはずです。本県は、長年の慣習なのか、財政調整基金を18億円前後以上は積み立てない方針のようですが、財政調整用としては、財政調整基金を積み増すことが王道であり、財政調整基金が少額だったことが、これから触れる県債残高に少なからず影響しているのではとの見方もできます。 それでは次に、中期的な財政収支の試算についてお尋ねします。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、決算カードを基にした地方債現在高、いわゆる県債残高の推移です。右肩上がりを示し、令和2年度時点で1兆6,320億円、県民1人当たりの借入れは約90万円になります。 昨年10月公表された中期的な財政収支の試算によると、昨年度から8年度まで、不足する財源対策として繰越金等の活用とあり、毎年度約200億円を充てるようになっています。 再度スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、本県を含めた類似団体の5年間の繰越金の決算額及び歳入における構成比を示したものです。それぞれ本県が高い水準を維持していることが分かります。 歳入における繰越金は、一会計年度が終了し、次の年度へ持ち越す決算上の剰余金で、健全な財政運営確保の見地から、剰余金の処分は、地方財政法第7条で、2分の1以上は積み立てるか、または地方債の繰上償還の財源に充てることが条件として付されています。 剰余金発生の背景には、決算で歳入が予算を上回って収入されたか、または歳出が予算を下回って支出されたか、要は、収入済額支出済額を上回った分が剰余金となります。 一方、当局の分析にもあるように、先々新たな政策課題や現段階で見通せない課題が生じることを勘案すると、想定額が確保できない事態も考えられます。 そこで、平時における剰余金の扱いと、試算とはいえ、数年にわたり財源対策として繰越金を充当するに至った理由と妥当性についてお尋ねします。 次に、試算の県債残高推移の内訳を見ると、通常県債の次に多額を占めるのが、臨時財政対策債です。 臨時財政対策債は、国から地方自治体に交付する地方交付税の原資、所得税ほか4税が全国の自治体で必要とされる総額を大きく下回る状況が恒常化したため、平成13年度に導入された地方債の一種です。 その特徴として、1つ、地方交付税代替財源として利用される位置づけから、自治体ごと発行可能額は国が決定し、その範囲内で自治体が起債額を決めていること、2つ、発行によって調達された資金に対する使途の制限がないこと、3つ、元利償還費の全額が後年度の地方交付税算定過程で補填されるなど、極めて特殊な性格です。 現在、多くの自治体は、地方交付税臨時財政対策債の発行を組み合わせて行政サービスの経費を賄い、本県も、ここ10年、発行可能額いっぱいの起債をしています。 有識者は、臨時財政対策債について種々論点を指摘していますが、おおよそ3点に集約されます。1点目は、債務の返済は地方自治体であり、世代を超えて利用する建設公債と異なり、発行は次世代への負担の先送りであること、2点目は、過去の臨時財政対策債元利償還費のために新規の臨時財政対策債が割り当てられ、借金で借金を返済する仕組みが改められない限り、趨勢的に増加すること、3点目は、元利償還金が通常の住民サービス等基準財政需要額にそのまま上乗せされることで、地方交付税がその分だけ純増するとは限らないことです。 なぜなら、地方交付税の算定となる基準財政需要額は、土木費、教育費など、行政項目別におおむね人口を基礎に算出します。人口減少で、各項目の基準財政需要額が減少すれば、元利償還金を交付税措置しても、地方交付税交付金額が純増することにはなりません。 さらに言えば、トップランナー方式のように、各項目の単位費用を国が削減することで、それまでの住民サービスに係る地方交付税が削減されることも推測されます。 抜本的な制度改革はさておき、当面の資金確保のために発行はやむを得ないとしても、将来を見据えて極力抑制に努めるべきではないでしょうか。 そこで、県債残高推移における臨時財政対策債と今後の起債の考え方について、さきの繰越金と併せて、総務部長に伺います。  〔総務部長平井宏英君登壇〕 ◎総務部長平井宏英君) まず、決算剰余金の扱いについてお答えいたします。 予算編成において歳入欠陥が生じないよう、また、事業執行に当たり不足額が生じないよう、歳入歳出予算を計上しております。 予算執行の過程で、計上した予算額よりも税収などの収入額が上振れすることがある一方、支出の節減、入札の結果契約額が予算額を下回ることなどによりまして、毎年度、決算剰余金が生じております。 この前年度の決算剰余金は、翌年度の繰越金となり、所要額を基金に積み立てるほか、翌年度の補正予算や翌々年度当初予算の財源として活用しております。 昨年10月に公表した中期的な財政収支の試算におきましては、先ほど述べましたとおり、決算剰余金が例年生じている現状を踏まえて、過去の実績を基に、繰越金を財源対策として活用できると考えて試算をしております。 次に、臨時財政対策債の起債の考え方についてでございます。 臨時財政対策債、省略して臨財債と申しておりますが、この臨財債は、毎年度の国の地方財政計画の中で、国が責任を持って将来の償還財源を確保する地方交付税代替財源とされております。 本県の令和2年度末における臨財債の残高は約5.300億円に至っておりまして、年々増加しております。 臨財債の発行については、臨財債が一般財源総額の一部として交付税の代わりに配分されていますので、後年度に元利償還金が100%交付税措置されることになっております。 その一部を発行しない場合は、行政サービスの縮小につながります。現在の厳しい財政状況の中においては、県として必要な事業を実施するために、発行可能額の全部を発行する必要があると考えております。 しかしながら、臨財債は、地方財政全体にとっての将来負担につながるものであり、本来は地方交付税として配分されることが望ましいものでございます。 そのため、本県としても、全国知事会等を通じて、交付税原資となる所得税等の法定率の引上げや臨財債の縮減について、要望を続けてまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 繰越金を財源対策に充当することに対して、例年生じている過去の実績を基に判断したとのことですが、巨額の黒字が出ることを前提に数年単位で想定するのは、私的にはやはりいささか違和感を覚えます。 また、それだけの剰余金が毎年度出ているのであれば、それを踏まえて臨時財政対策債を発行するほうが財政規律上は望ましいのではないでしょうか。 臨時財政対策債は、今日まで、国から見れば地方の、地方からすれば国の債務と認識している側面があります。残高分は国が財源補填してくれるから大丈夫と楽観視できない状況にある中で、償還をこれまで堅実に行ってきたとしても、残高が増大を続けている事実は極めて重く、国は一刻も早く改正に努めるべきであり、本県も強い危機意識を持って臨むべきではないでしょうか。 次に、定員管理基本方針公共施設等維持管理について、財政状況資料集を基にお尋ねします。 資料集は、決算カード同様、総務省が年に1度公表し、財政に関して開示すべき情報を体系化し、視覚的な理解を促進したもので、性質別、目的別歳出等を統一様式で編成、しかも過去5年の経年データが記載され、類似団体の中での位置づけ、比較が容易になります。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、令和2年度の資料集を基に、人口1人当たりの人件費を類似団体で比較したものです。 一般職員、警察官、教職員、委託をしている物件費、公営企業等に対する繰り出し等の合計から退職金を除いた合計額を県民1人当たりに換算すると、本県は9万2,610円で、最も多い福井県とは約4万3,000円の開きがあります。 続けてスクリーンを御覧ください。(資料を示す) これは、過去5年間の県職員、教育庁教職員、県警のメンタル不調に係る相談件数と休職者及び退職者数の推移を示したものです。 恐らく、相談件数は、悩みを抱えている方の一部にすぎず、抱え込んでいる方も少なくないと推察します。 注視すべきは、休職者と退職者数でばらつきはあるものの、常に一定数いらっしゃることです。休職が復職につながればよいのですが、退職は、当人はもとより、本県においても有為な人材の喪失になります。 以前から、人件費が低額で職員数が少ないことは承知していましたが、改めて数値を見ると、効率的と手放しで喜ぶより、そこが職員のメンタルヘルスや県民サービスの低下につながっていないかと危惧します。 令和2年に示された定員管理基本方針によると、令和6年度までの4年間、4,218人の職員数を維持することを基本とし、人口減少を念頭に置いた簡素で効率的な行政体制を目指すこと、地震からの復興を着実に進め、果たすべき役割の拡大に的確に対応できる体制整備のための職員数を確保する観点が必要とあります。 方針は尊重し、賛同いたしますが、もしも少額な人件費が、一部に過重負担等のしわ寄せを生み、ひいては休職、退職が生じているのであれば看過できません。 類似団体との比較、メンタル不調等のデータを踏まえて、人件費及び定員の適正化について、見解をお尋ねします。 続けて、公共施設等維持管理について、施設類型別ストック情報分析表を基にお尋ねします。 分析表は、自治体が住民サービスを提供する観点で維持しなければならない公共施設等類型ごとに、住民1人当たり面積有形固定資産減価償却率等を表示してあります。 再度スクリーンを御覧ください。(資料を示す) この分析表は、それ以外の部分に比べてかなり後に追加公表されるため、令和元年度のデータから、類似団体の中で減価償却率の高い、老朽化が進んでいる施設を抜粋しました。 個々の説明は省略しますが、それぞれ県民生活に直結し、欠くことのできない施設であり、中でも橋梁やトンネルは、万一の場合甚大な被害につながりかねません。 県は、平成25年に県有財産の管理に関する基本方針を策定、29年に熊本県公共施設等総合管理計画として改定し、本年3月には計画を見直し、今後の長寿命化対策の効果額について充実を図ってきました。 察するに、今回示した各施設も、築年数や構造等に応じて適宜対応されていると思いますが、国の指標として公開されているからには、整備の行方が気になります。減価償却率の高い施設に対する現在の取組状況について、以上、人件費と併せて、総務部長にお尋ねします。  〔総務部長平井宏英君登壇〕 ◎総務部長平井宏英君) まず、定員管理基本方針についてお答えいたします。 各都道府県の職員数は、多くの事務、権限が移譲されている政令市の有無や市町村の数、人口、面積、離島の有無といった地理的条件などによって必要な数が異なってまいります。 そこで、本県と似た条件にある、政令市を有し、人口200万人程度の新潟県や岡山県と比較しますと、本県の人口当たりの人件費や職員数は、同程度となっております。 県では、これまで、このような他県の状況も踏まえながら、その時々の状況に応じて策定した定員管理計画により、適正な人件費や職員数となるよう努めてまいりました。 現在は、議員御紹介のとおり、令和2年度に策定した定員管理基本方針に基づき、職員数を減らすことなく、熊本地震及び令和2年7月豪雨災害からの創造的復興新型コロナウイルス感染症対策を最優先に、TSMCの本県進出への対応などの新たな行政需要にも対応できる行政体制の確保に努めております。 また、議員御懸念ございました業務の過重負担、これは精神面の不調につながるものと認識しております。 そのため、ストレスチェックにより職員自らが心の状態を把握し、不調を感じた場合には、サポートセンターへの相談につなげるなど、早期の対応に努めております。仮に、休職等に至った場合には、職員のケアや復職の支援に取り組んでいます。また、各所属において、業務に支障が生じないよう、職員の配置調整なども行っております。 引き続き、業務が過重負担とならぬよう、業務の見直しの徹底はもとより、災害対応等への職員の重点配置や任期付職員の任用、また、民間委託による人員の拡充など、あらゆる手法を柔軟に活用し、しっかりと行政体制の確保に取り組んでまいります。 次に、公共施設等維持管理についてお答えします。 本県では、多くの施設が昭和40年代に建設され、現在、50年を経過しております。このような有形固定資産減価償却率の高い施設、すなわち建設後長期間経過している施設につきましては、国が平成25年度にインフラ長寿命化基本計画を策定しました。本県においても、国の方針に基づき、長寿命化や財政負担の軽減を図る個別施設計画を策定し、補修などの取組を進めております。 議員御指摘の県管理の橋梁及びトンネルにつきましては、令和3年度末現在で、橋梁が3,600か所、トンネルが約150か所あります。これらについては、5年に1回実施する近接目視点検の結果を踏まえ、予防保全の観点から、損傷が小さいうちに計画的に補修を行い、施設の安全性と信頼性を確保しております。 庁舎等建築物については、令和2年度に策定した個別施設計画を踏まえ、施設ごとの現地調査を行った上で、工事内容や時期を明確化する長寿命化保全計画を策定し、より安全な維持管理を行っていくこととしております。 現在、県立体育館のような集客施設等、30施設が策定済みでございます。今後3年間で、県庁舎等66施設について策定する予定でございます。 今後とも、公共施設等維持管理につきましては、県民の安全、安心を大前提に、長寿命化やコスト削減、予算の平準化を図りながら、持続的かつ適切な管理に努めてまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 人件費と定員管理は、引き続き注視してまいりたいと思います。 公共施設の老朽化は、すなわち県民サービスの低下に直結します。答弁を聞いて人心地つきましたが、粛々と改良しているのであれば、公表の在り方にも問題があり、改善を申し入れるべきでしょう。さもなくば、放置していると見なされます。木村副知事、大変恐縮ですが、自治財政局財務調査課へ働きかけをぜひよろしくお願いをいたします。 行動経済学の分野に、現在バイアスという言葉があります。これは、将来の利益より現在の利益を重視して行動を先延ばしする心理傾向を指します。例えば、夏休みの宿題がぎりぎりになったり、ダイエット中にスイーツや油っぽいものが我慢できないことなどです。様々な指標を通してお尋ねしましたが、冒頭申し上げたように、今後、地方自治体は、厳しい財政運営が避けて通れません。子供や孫の世代のためにも、将来を見据えて、なお一層財政に視点を当てるべきです。 国政でも、財政に関しては議論百出しているように、県の財政も広範な角度から議論を深めることが大切です。そのためにも、当局には、試算ではなく、財政計画を定期的に公表していただくよう強く要望をいたします。 次に、熊本県国民保護計画についてお尋ねします。 2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、世界状況は一変しました。連日映し出される光景に、不条理がまかり通る現実と破壊を阻止できない無力への失望。そして、さきの大戦以後、営々と築き上げられた国際社会の秩序が瓦解し、現下、激昂した為政者がさらに破滅的な行動に走らない保証はありません。 近年、中国は、アヘン戦争以来の体制を変えることにほぼ成功し、悲願である統一、そして覇権掌握を視野に触手を伸ばしています。また、北朝鮮も、今週初めの同時多発を含めて、多様なミサイル発射実験を繰り返し、近日中に核実験を行うとの報道もあります。 今次、歴然としたのは、強権政治の国において、自制心を失った指導者の決断いかんで、どんな国もウクライナのような事態になりかねず、我が国は極めて可能性の高い国々と隣接していることです。 2004年、国は、武力攻撃があった場合、関係機関と連携協力し、国民生活を守るための国民保護法を制定しました。 内閣官房の国民保護ポータルサイトには、保護法の概要、弾道ミサイル落下時の行動、過去の訓練の事例、さらには全国の避難施設が探せるようになっていますが、国民の多くは、サイトの存在すら知る由もありません。 そもそも、武力攻撃は、自然災害と比べて根本的な違いが3つあります。第1に、武力攻撃のターゲットがどこか、何が起こっているのか、外形上分からないこと、第2に、相手に明確な意図があることから、波状攻撃が起こるおそれがあり、予測が困難なこと、第3に、時間とともに終息に向かう自然災害と違い、殺傷目的とした武器の使用で、被害が空間的、時間的に拡大、長期化することです。 ミサイル実戦は決してあってはなりませんが、仮に近隣国からミサイルが発射されると、到達まで10分かかりませんし、極超音速の新型はそれ以上です。Jアラートを聞いて、大都市の一部の人々が地下鉄駅等に逃げ込めるぐらいで、多くは立ち往生するのではないでしょうか。それに、たとえ地下に避難しても、日本の地下空間は、単に地下利用を目的としているので、大量破壊兵器には対応できないはずです。 本県は、国民保護法制定後の2006年に、熊本県国民保護計画を策定しました。要約すると、県民を保護するには、一刻も早い避難、避難した県民の救援、武力攻撃災害への対処、この3つが大きな柱となります。 そこで、計画を踏まえて2点お尋ねします。 県民の生命を守る第一義は、いかに難を避けるか、避難が最優先事項です。サイトの避難施設一覧を見ると、熊本大学黒髪運動場を皮切りに、市町村ごとに表示されますが、ウクライナの惨状を目の当たりにした今、果たして避難施設として適正か憂慮します。真に武力攻撃に適した避難先の選択、強化に早急に取り組む必要があるのではないでしょうか。 また、避難と聞くと、自然災害と混同する可能性も高いことから、事前周知も欠かせません。避難先の新たな選択と強化並びに県民への周知についてお尋ねします。 次に、計画にも「平素からの備え」とあるように、万一の際の被害を最小化するには、有効性のある避難訓練が必要です。 本県では、2019年ラグビーワールドカップを目前に図上訓練を行った経緯がありますが、従来の訓練は、繁華街や原発など、重要施設へのテロ攻撃を想定した内容が多くを占めます。弾道ミサイルを前提にした住民避難訓練は、本県では2017年の上天草市のみで、19年以降、全国でも実施されていません。 4月15日、官房長官は、弾道ミサイル発射に備えた避難訓練の再開を明らかにしました。本県における住民避難訓練の実施について。 以上2点、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) ロシアによるウクライナへの侵略や北朝鮮による弾道ミサイルの発射などの挑発行為は、我が国の安全保障上の重大な脅威です。 このため、去る5月には、全国知事会において、国民への適切な情報発信や実効性のある訓練の推進など8項目について決議し、国に緊急提言を行いました。 万一の事態から国民の安全を守るためには、国が示す方針の下、地方自治体が協力して国民保護の体制強化を図ることが重要であります。 このような認識の下、熊本県国民保護計画による取組についてお答えします。 まず、1点目の武力攻撃に対応した避難先の選択と強化並びに県民への周知についてです。 仮に、我が国に対し弾道ミサイルが発射された場合、極めて短時間で落下する可能性があり、まずは、爆風等から身を守るため、緊急的な一時避難が必要です。 県内では、国が示す堅牢な緊急一時避難施設を、公共施設を中心に875か所指定しています。今後さらに拡大していく必要があると考えています。 そのため、さきの緊急提言においても、都道府県による民間施設の指定が進むよう、国による民間団体への働きかけの強化を求めるとともに、国有施設の積極的な開放を要望しています。 今後も、国や市町村と連携し、新たな避難施設の指定に向けて取り組んでまいります。 また、そのような事態において、取るべき避難行動や避難施設の所在地などについて、ホームページ等を活用して普及啓発を進めてまいります。 次に、2点目の万一の事態に備えた訓練の実施についてお答えします。 万一の際に被害を最小化するためには、避難施設の指定や県民への周知のほか、迅速かつ適切な行動に向けた平時からの避難訓練が重要です。 このため、今回の国の弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の再開を受け、市町村とも協議の上、国との共同訓練の実施に向けて検討を進めてまいります。 国には、国際社会と協調し、万一の事態を回避するために、外交を含むあらゆる対策を講じることを望みます。 県としては、不測の事態に備え、国や関係機関との連携体制を強化し、県民の皆様の安全、安心の確保に努めてまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 先月、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏の講演を聞く機会がありました。終了後、地方自治体として備えておくことは何かと尋ねると、現時点で24時間365日ミサイル防衛をするには、イージス・アショアしかない、忌避するだけでなく、抑止、災害対策として地方自治体が自ら考えて議論をすることが大切ではとのお答えでした。 本来、一人一人が、難を避けるためにどうすべきか考え、行動することをあらかじめ認識しておくことが肝要です。さりとて、自治体として、想定外の文言は禁句であり、私を含めて、自分だけは大丈夫という正常性バイアスを取り除いて導くことが自治体の役割ではないでしょうか。 最後に、金融教育についてお尋ねします。 本年4月1日、改正民法が施行され、成年年齢が18歳に引き下げられました。きっかけは、2007年に憲法改正の手続を定めた国民投票法が制定され、投票には多くの国民、とりわけ将来日本を背負って立つ若い人々に参加してもらいたいという考えに基づき、投票できる年齢を18歳以上としたことです。 その後も、2015年、公職選挙法の選挙権年齢が18歳と定められるなど、国政上重要な判断に参加するための政策が進められてきました。また、世界的にも、成年年齢のデータがある187の国と地域で、18歳以下が141あることも見直す一因でした。 今回の改正には、法律上2つの意味があります。1つは、18歳に達したら、親の同意を得ずとも様々な契約ができることです。今まで、未成年は、法律上保護されるので、高い商品を買わされたとしても、親の同意がなければ無条件に取り消すことができましたが、4月以後は取消しできません。2つ目は、親が子供を守り育てる親権が及ばなくなります。婚姻開始年齢も、男女18歳になり、人生100年時代を自らの意思で、責任で、どう生きていくかが求められます。 そこで、2つの意義をより理解するために、高校で新しい指導要領に基づいた基礎的な金融経済の仕組みや資産形成の視点に触れた金融教育がスタートしました。 さて、家計の金融資産構成を国ごとに見ると、日本は、圧倒的に現金、預金が多くを占め、欧米と比べると、株式等が少ない現状にあります。 また、一般的に日本人は、お金の不安があるにもかかわらず、資産を増やすことには消極的で、総じてお金を話題にしたがらない傾向が強く、投資には慎重で、リスクを負って元本を減らすことを忌み嫌う風潮があります。 その前提には、戦後、我が国は、学校に通い、卒業後は就職、退職後は年金で暮らすという、先が見通せる安定した生活があったからで、自ら金融資産を増やす必要性を強く感じませんでした。 ところが、今や寿命が延びて老後生活が長くなり、公的年金への懸念や、かつての経済成長や賃金上昇が見込まれないなど、将来保証が不確実なことから、次世代を担う若年層に、早い時期から計画的に資産形成に取り組むニーズが高まっていました。 本県は、今回の引下げを見据えて、平成30年度に第3次熊本県消費者基本計画を策定し、専門講師を派遣する高校生等のための消費生活講座を開始、令和元年度には消費者教育コーディネーターを配置、昨年4月に第4次計画を定め、学校教育と連携した若者への消費者教育を重点プロジェクトと位置づけ、実践的な消費者教育を実施してきた経緯があります。 そこで、3点お尋ねします。 まず、平成30年度以降実施してきた消費者教育の成果、そしてその成果を金融教育にどう結び、生かしているのか、お尋ねします。 次に、金融の世界は、幅広で奥深く、よい話ばかりでなく、持続化給付金等悪用されることもしばしばです。先生方には、知識に対する深浅もあり、民間からの人材派遣、テキスト活用もあるようですが、気になる授業実態について伺います。 3点目に、文科省は、金融教育の狙いについて「生活の基盤としての家計管理の重要性や家計と経済との関わりについて理解する」と示しています。しかし、生徒には、多様な家庭環境があり、お金の価値観も異なることから、一律に教えるのはたやすくありません。金融教育の狙いを達成する指導について。 以上、1点目は環境生活部長、ほか2点は教育長にお尋ねします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) まず、1点目の消費者教育の成果についてお答えいたします。 金融や消費者問題の専門講師を派遣する高校生等のための消費者生活講座は、4年間で73校、延べ8,300人を超える高校生等が受講しました。 受講後のアンケートで、契約の大事さを理解することができた、通販で気をつけるべき点がよく分かったなどの好意的な意見をいただきました。 また、消費者行政と教育機関との橋渡しを担う消費者教育コーディネーターは、3年間で延べ110校の高等学校等を訪問しています。 消費者教育に対する学校現場のニーズや要望を聴取した上で、学校独自に取り組める教材を作成し、県ホームページへの掲載を通じて多くの学校に利用いただくなど、一定の成果があったところです。 一方で、被害から子供を守るために、もっと知識を深めることが必要といった意見もあり、金融教育に際しても、お金の使い方だけでなく、具体的な被害事例等をより丁寧に伝えることが大切だと考えています。 成年年齢の引下げにより、高校生等への消費者教育はますます重要になっています。これまでの成果や意見を生かし、出前講座等のさらなる活用を呼びかけ、学校教育と連携した取組を推進してまいります。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) まず、2点目の金融教育の授業実態についてお答えいたします。 今年度の高校1年生からスタートする新しい学習指導要領では、今までの学習内容に加え、公民科では、キャッシュレス社会の進行など、金融における技術革新の進展に関する内容が追加されました。また、家庭科では、株式や投資信託等の様々な金融商品の特徴や各商品のメリット、デメリットなど、資産形成に関する学習内容が追加されています。 県教育委員会としましては、これまで、公民科や家庭科等の教員を対象とする指導方法の研究会や有識者を講師とする研修を実施するなど、追加された学習内容を教えるための準備を重ねてまいりました。 今年度から、各学校において、家計管理の重要性や金融の役割などを、ライフステージや社会保障制度などと関連づけながら学ぶための授業を展開することとしております。 次に、3点目の金融教育の狙いを達成する指導についてでございます。 生徒が、家計管理の重要性や家計と経済との関わりについて理解するためには、専門的な金融知識を、身近で具体的な事例を通して、主体的に学ぶことが重要でございます。 そのため、金融機関等の専門性の高い外部人材を招いて分かりやすい授業づくりに努めるとともに、生徒一人一人の興味、関心等に応じて主体的に考えることができるよう、グループ学習やディスカッションなどの授業を取り入れることなども検討しております。 引き続き、金融教育の狙いを達成できるよう、しっかり取り組んでまいります。  〔髙島和男君登壇〕 ◆(髙島和男君) 先日、骨太の方針と新しい資本主義の実行計画が閣議決定され、貯蓄から投資への移行を促す資産所得倍増プランを年末までに策定することが明らかになりました。 貯蓄から投資へは、長年国が掲げてきた政策課題です。日本では、投資というと、賭け事と似たようなものとの考えが古くから存在しますが、これからの金融教育を通してイメージが刷新されるのではとの期待感を持っています。 金融を学ぶということは、お金という窓を通じて社会を知ることです。お金をためる、増やそうとする行動が、社会とどうつながり、どういう影響をもたらすのか、学ぶことが本質かもしれません。 高校生には、お金を通して世界経済、国際社会がどのように動いているのか、その仕組みを理解し、日本の行く末に思いをはせてもらいたいと思います。 以上で用意した質問、全て終了をいたしました。 最後までの御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時57分休憩    ――――――○――――――  午前11時7分開議 ○議長(溝口幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 末松直洋君。  〔末松直洋君登壇〕(拍手) ◆(末松直洋君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・宇城市・下益城郡区選出の末松直洋でございます。今回で8回目の質問になります。 本年2月24日にロシアがウクライナに武力で領土を拡大しようと侵攻し、もう4か月になろうとしております。何の罪もない多くの市民が犠牲になっており、決して許すことはできない残虐行為であり、いち早い戦争の終結を願っております。 今回ほど、国家の安全保障をはじめ、様々な安全保障に関心が集まったことはないと思われます。蒲島知事が掲げられる5つの安全保障の中の幾つかを中心に、県内の取り組むべき課題を質問させていただきます。 それでは、通告に従い、質問に入らせていただきます。 まず、1点目の食料の安全保障に向けた食料自給率の向上について。 今回のロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、世界中の食料事情、エネルギー事情は一変したと言われています。資源が少ない輸入大国である日本の食料保障の在り方が、今ほど問われているときはありません。 富裕国と言われる国々は、お金さえ払えば食料など何でも手に入ると思っていたところ、今回の有事でその思いが足元から崩れようとは、誰も想像していなかったと思います。 先月末に公表された令和3年度食料・農業・農村白書によると、日本の食料自給率は、カロリーベースで37%、飼料自給率は25%となっており、米以外の穀類のほとんどが輸入に頼っている状況です。 この穀物等の国際価格は、主要輸入国における需要の増加により上昇傾向となっており、特に小麦については、北米での不作等に加え、ロシアのウクライナ軍事侵攻により、2022年3月、過去最高値を記録しています。 国内の小麦の生産量は94.9万トンであるのに対し、輸入量は552.1万トンと、自給率は15%と低く、世界的な小麦の高騰の影響を受けるのは避けられないと思います。 一方、国内で生産される牛肉などの畜産物全体の自給率は63%。しかし、これを支えるトウモロコシをはじめとする飼料用の穀物の多くを輸入に頼っている現状です。その量は年間1,300万トンと、膨大な量に及びます。 配合飼料などの栄養性の高い、いわゆる濃厚飼料の自給率は僅か12%、令和2年9月以降、世界的な穀物需給の逼迫により、また、直近のウクライナ情勢や円安の進行により、配合飼料価格も高騰しています。 これらのことにより、自民党は、食料安全保障の強化に向けた提言として、過度な輸入依存からの脱却など、思い切った食料安全保障予算を確保し、幅広い視点から食料・農業・農村基本法の検証、見直しを行い、数十年先を見据えた食料政策、農林水産政策を確立すべきとしています。 そこで質問です。 国は、今回の危機に直面し、過度な輸入依存からの脱却と食料の安全保障の強化にかじを切っています。そのような中、農業産出額全国5位であり、知事も5つの安全保障として掲げられている農業大県熊本において、小麦や飼料の生産を今後どのように進めていくのか、農林水産部長に質問します。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 最近の新型コロナウイルスやウクライナ侵略の影響などにより世界的に不確実性が高まる中で、全国第5位の農業産出額を誇る本県の役割は、日本の食料安全保障を担う上で、ますます大きくなってきていると認識しております。 特に、議員御指摘の小麦と飼料につきましては、輸入依存度が高く、生産の安定、拡大に向けた一層の取組が必要です。 まず、小麦につきましては、県では、水田をフル活用する観点から、米の裏作として推進し、消費者のニーズに対応した品種の導入や収量、品質向上のための圃場の排水対策、農地集積による低コスト生産に取り組んでまいりました。その結果、県内における小麦の生産量は、平成28年からの5年間で約1.5倍に増加しております。 しかし、県内の自給率はいまだ17%と、全国と同程度です。今後は、国の事業を活用し、圃場の団地化によるコスト低減やさらなる品質向上に取り組むとともに、実需者に対して県産小麦の利用拡大をより一層働きかけることで、生産拡大と自給率の向上につなげてまいります。 加えて、輸入小麦に代わるものとして、県内で生産される米粉の活用を引き続き推進してまいります。 次に、飼料につきましては、これまで、作付面積全国第1位の稲WCSや飼料用米の増産、牛の放牧推進、食品残渣を利用したエコフィードの利用など、様々な取組を展開してまいりました。 国内の飼料自給率は、牧草など粗飼料が76%である一方、穀物など栄養価の高い濃厚飼料は僅か12%にとどまっております。今後、自給率を高めていくためには、濃厚飼料用の穀物のさらなる増産が必要です。 そこで、飼料用米に加え、本年からは、新たに飼料用トウモロコシの実だけを濃厚飼料として活用する取組を進めております。 北海道には先進事例があるものの、九州ではほとんど実績がないことから、まずは農業研究センターにおける水田での栽培試験と生産者の畑での実証展示に取り組んでおります。 あわせて、大津町の大規模営農法人が、自ら生産した飼料用米を活用し、飼料製造に取り組んでいる事例を参考に、集落営農組織が飼料作物の生産を担い、畜産農家がそれを利用するといった生産と利用の分業を進めるなど、飼料自給率の向上を図ってまいります。 このような取組を進めることで、今後とも日本の食料安全保障の一翼を担ってまいります。  〔末松直洋君登壇〕
    ◆(末松直洋君) 農林水産部長に御答弁いただきました。 本県の役割は、食料供給県として非常に大きいということであります。特に、小麦、飼料について、輸入依存度が大きく、水田の裏作として、水田のフル活用で作付は伸びているということですが、基盤整備が済んでいない水田や暗渠排水が入っていない水田では、なかなか作付が厳しいものになります。 今後は、作付の団地化や集落営農組織などに県産小麦の作付拡大を図っていかれるということであります。 次に、飼料作物のほうは、WCSや飼料用米や牧草などの粗飼料の自給率は高いが、濃厚飼料の自給率は12%と低いということであります。 ロシアのウクライナへの軍事侵攻の情勢不安もあり、先が読めない状況の中、本年度から、トウモロコシの実だけを取る子実用トウモロコシも活用されるということであります。九州では実績がないということでありますが、農研センターで試験を始められるということで、非常に期待をしております。 今回質問には取り上げませんでしたが、米粉のことも答弁いただきました。 実は、米は、国内自給が100%以上ありまして、米粉の活用もぜひ取り組んでほしいと思っています。米粉向けの品種は、本県の御当地銘柄のミズホチカラという品種があるようですので、その作付の拡大もぜひ図っていただきますようお願いします。 これまでは、小麦粉の最大3倍ぐらいの価格差があった米粉ですけれども、小麦粉が急激に上がっておりますので、この価格差も縮まっております。米粉商品の開発の予算も国のほうも組んでおられますので、しっかり前向きに取り組んでいただきたいと思います。 それでは、次の質問に入らせていただきます。 みどりの食料システム戦略の推進について。 新型コロナウイルスの世界的拡大やロシアによるウクライナ軍事侵攻により、燃油、資材、飼料、そして輸送コストの上昇など、農業にも大きな影響が生じています。 特に、リン酸アンモニウムや塩化カリ、尿素等の化学肥料の大部分を輸入に依存しており、中国の輸出制限策も相まって、今後、肥料が手に入るのか、価格が高騰するのでは、さらには今後農業を続けていくことができるのかなどの声が私の地元の農家からも聞こえてきます。このままでは、知事が掲げられている食料の安全保障は、根底から崩れていく可能性があります。 私は、食料の安全保障を考えるとき、食料自給率を高めるための生産性の向上と併せ、化石燃料や海外に過度に依存しない持続的可能な農業、すなわち環境負荷軽減を図る農業を進めていくことも必要だと思っています。 このような中、国では、昨年5月、持続可能な食料システムの構築に向け、みどりの食料システム戦略を策定し、中長期的な観点から、調達、生産、加工、流通、消費の各段階の取組とカーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進するとしています。 また、このみどりの食料システム戦略を強力に推進するため、本年5月には、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律が公布され、7月1日には施行されようとしています。 このみどりの戦略では、14の数値目標、KPIが掲げられており、2050年までに、1、化石燃料を使用しない施設園芸への完全移行、2、化学農薬の使用量を50%低減、3、化学肥料の30%低減、4、有機農業の取組割合を25%に拡大などを目指すとしています。 これらの目標を達成させることは、将来にわたり熊本農業を発展させていくために重要なことと思います。 その中でも、私は、今後、全国に食料を供給していく役割を果たしつつ、1、低コストや省力化に向けた技術導入などにより、くまもとグリーン農業をさらに進めること、2、過度に海外に依存した農業資材、原料を是正すべきであること、3、全国1位の園芸施設の設置面積を有し、その半分は暖房機による加温栽培を行っているため、燃油高騰の影響を受けない営農を確立していくことが必要だと思います。 しかし、現時点で考えた場合、いずれもハードルは高いと感じています。私も含め、農家の皆さんは、安定した生産や所得の確保ができるのか、一番心配しているところであり、そもそも農業は、CO2を吸収し、酸素を供給しているという、地球環境に優しい産業と考えている人がほとんどだと思います。 そのような認識の中で、農家の方々にみどりの食料システム戦略を実践していただくためには、新たな取組がないと進まないと考えます。 そこで質問です。 今後、県としては、熊本らしさを打ち出しつつ、どのような取組により、みどりの食料システム戦略を推進していかれるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 本県では、平成17年から、全国に先駆け、くまもとグリーン農業に取り組んでおり、この16年間で、化学農薬を37%、化学肥料を32%削減してきました。 今後は、これまでの取組や本県の特徴を踏まえ、グリーン農業を一層進めるとともに、全国一の面積を誇る園芸用ハウスでのCO2排出実質ゼロに取り組むなど、環境に優しい農業の高度化と併せ、稼げる農業をさらに推進していくことが重要です。 まず、グリーン農業の推進につきましては、有機農業の地域モデルを創出し、団地化の取組を支援してまいります。 加えて、化学肥料、農薬のさらなる削減を進め、生産コストの削減につなげていくため、ドローンによる観測と診断などスマート農業技術を活用し、土壌や作物の生育に応じた施肥、ピンポイント農薬散布の普及に取り組んでまいります。 また、原料を輸入に頼っている化学肥料の使用を削減しつつ、安定的に肥料を農家へ供給できるよう、地域資源である堆肥と化学肥料を混ぜ合わせた混合肥料の生産、利用を推進してまいります。 次に、園芸用ハウスでのCO2排出実質ゼロにつきましては、重油加温機とハイブリッド運転することで、燃料費を32%、CO2排出量を36%削減することができるヒートポンプの導入を進めてまいります。 さらに、ヒートポンプに使用する電気を自然エネルギーで賄うことにより、CO2排出量を63%削減することが可能です。 しかし、ヒートポンプは、初期投資が大きいことから導入が進んでいないため、効果的に活用している優良農家の事例を分析するとともに、高温期の品質、収量向上のための冷房利用などの技術開発にも取り組んでおります。 さらには、暖房に頼らない栽培方法や低温に強い品種の導入なども進めており、これらの取組を推進することで、農家所得の維持向上とCO2削減の両立を図っていくこととしております。 今後とも、稼げる農業のさらなる推進と環境に優しい農業の高度化を両立した熊本ならではのみどりの食料システムの確立に向け、積極的に取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 本県では、全国に先駆けてグリーン農業に取り組んでこられたということで、これまで化学農薬や化学肥料の削減に努められてきたことと、さらにグリーン農業を進めていかれるということであります。 今現在も、肥料や資材の高騰など、今後の不安が増す中、これまで輸入に頼ってきた化学肥料の使用を抑え、地域資源である堆肥と化学肥料を混ぜた混合肥料を生産、利用する取組を支援していかれるということであります。ぜひよろしくお願いいたします。 次に、全国一の面積を誇る園芸用ハウスのCO2のゼロエミッション化については、現在、重油加温機とハイブリッドで運転でき、CO2を36%削減できるヒートポンプの導入を進められるということ、さらにヒートポンプに使用する電気を自然エネルギーで賄えば、CO2を63%削減できるということですが、何せ初期投資が非常に高いのがネックでありますので、今後これを進めるに当たっては、ぜひ国のほうに予算を要望していただきたいと思います。 次の質問に入らせていただきます。 デジタル田園都市国家構想の県の取組についてであります。 まず初めに、デジタル化による都市と地方の格差是正についてであります。 熊本県人口ビジョンによりますと、2019年10月1日現在、本県の人口は174.8万人で、2015年の178.6万人から3.8万人、2.1%減少しています。 人口の推移を見ますと、1947年から1949年にかけては、第1次ベビーブームにおける出生数の大幅な増加により急増しました。その後、出生数は逓減したものの、死亡数を上回っていたため、自然増によって増加し続け、1956年に190.3万人でピークを迎えました。その後、経済成長期における大幅な人口流出により1972年まで減少し続けましたが、次第に人口流出は収まり、1973年からは一転増加に転じたものの、1998年を境に再度減少傾向になっているとの分析がなされています。 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2045年には144.2万人、2015年比の約19.2%減と、今後さらに加速度的に人口減少が進むと見込まれています。東京への一極集中により地方が疲弊し、様々な意味において都市と地方の格差が生まれてきたのでした。 そのような中で、国は、デジタルを活用した意欲ある地域による自主的な取組を応援し、デジタル田園都市国家構想を推進するため、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた地方公共団体の取組を、交付金により支援しています。 そこで、スクリーンを御覧ください。(資料を示す) デジタル度を可視化するための指標であるDCI、デジタル・ケイパビリティー・インデックスの都道府県別のスコアです。 ネット利用、デジタル公共サービス等の項目で、都道府県のデジタル度を評価しており、2021年7月の時点では、熊本県は40位となっています。 次の資料は、2020年7月から2021年7月までの県のDCIが上昇しているのに対し、下がっているのは、東京、広島、千葉、熊本の1都3県だけであります。この1年間で最もデジタル化が進んだのが宮城県であります。前回の46位から今回24位へと順位を大きく上げています。 本県も、本年度からデジタル戦略局を立ち上げられて進めていかれることとは思いますが、単に県庁内でのデジタル化を進めるだけにとどまらず、県内全域にわたってその効果を発揮してほしいと願っています。早速、産官学連携でコンソーシアムを立ち上げると聞いています。 このデジタル化の推進に関しては、幾つかの課題認識がございます。 まず1つ目として、都市と地方の格差の解消の中で、最も大切なライフラインとも言える光ファイバーの通信範囲は、ほとんどの地域をカバーしておりますが、5GやフリーWi-Fiなどの整備には、まだまだ予算と時間が必要と思われます。 そこで、スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 通信方式の位置づけをしたものです。 右上にLPWAとありますが、ロー・パワー・ワイド・エリアネットワーク、低コスト、低速で消費電力が少なく、直線で250キロほど飛び、通信基地の箇所も少なくて済みますが、逆に動画や写真などの送信には向かず、在庫管理や河川の水位の状況、ハウスの開閉や今後進めていくであろうICT農林漁業などには適しており、都市と地方の格差是正にはぜひとも活用するべきだと思います。 そこで、質問に入ります。 今後、人口減少が進む中で、都市と地方の格差の是正をデジタル化によってどのように進めていくのか、デジタル戦略担当理事にお尋ねをいたします。 次に、2点目の質問ですが、生産性向上に向けたデジタル化の推進についてです。 報道等によりますと、TSMCの生産子会社JASMの従業員は1,700人規模になるとのことです。県は、半導体立地支援室の設置、産学官連携による熊本県半導体人材育成会議の立ち上げなど、人材の育成、確保に努められているようですが、全体の人口が減る中で、人手不足が懸念されます。 こうした状況の下で、本県の半導体関連産業、製造業を下支えするサプライヤーとしての中小企業、地場企業の人材確保と生産性向上が課題と考えます。 既に、TSMC進出をビジネスチャンスと捉え、新たな企業進出も増えているとのこと、より人手不足に拍車がかかると思われます。人材育成、確保にも限界があり、すぐにできるものではありません。今後、企業としては、限られた人員の中で生産性向上を図る取組をしなければなりません。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 中小企業白書の2021年版に、中小企業のデジタル化に関する調査について記載されています。 この中で、全社的にデジタル化を推進している企業における労働生産性の平均値が高い傾向にあることが示されています。 また、同じく中小企業白書の次の資料では、デジタル化において、公的支援機関に求められる能力として、補助金、助成金の紹介に次いで、セミナーなどによる研修会の提供が求められていることが分かります。ここに人材育成、確保を補完する人手不足解決の手だてがあると思います。 一方、県内には、デジタル化の波を素早く察知し、主体的に取り組んでいる大手企業があるものの、地場中小企業の規模では十分な取組が進んでいないのが現状です。 そこで、中小企業、地場企業の生産性向上に向けたデジタル化をどのように進めていくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。  〔理事小金丸健君登壇〕 ◎理事(小金丸健君) まず、都市と地方の格差のデジタル化による是正についてお答えします。 人口減少が進む地方の社会課題を解決し、利便性と魅力を備えた地域をつくるためには、デジタルトランスフォーメーションの推進に積極的に取り組んでいく必要があります。 そのためには、デジタル技術による先進的なサービス開発も重要ですが、インフラとなる光ファイバー等の情報通信基盤の整備が大変重要であると認識しています。 国は、本年3月、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を策定し、5Gをはじめとする情報通信基盤を、地方ニーズに即して、スピード感を持って推進することとしています。条件不利地域における基盤整備の財政支援など、必要な法改正等も進められており、今後さらに整備が加速化することが見込まれます。 現状、県内における整備状況について、光ファイバー整備率は、令和3年3月末時点で世帯カバー率97.8%であり、令和4年度末には100%を達成する見込みです。 また、携帯電話の通話エリアは、人口カバー率が99.9%であり、ほぼ県内全世帯をカバーしています。 くまもとフリーWi-Fiは、令和4年3月末時点で、空港、観光施設、公民館など564施設で利用でき、直近2年間で約24%増加するなど、着実に増加しています。 5Gについては、超高速だけではなく、多数の機器が同時にネットワークにつながる多数同時接続といった特徴があります。例えば、遠隔医療など、高度かつ複雑なサービスでその長所が発揮される技術であり、県内でも基地局整備が進められています。 基盤の活用に当たっては、利用地域や用途、コスト面等を考慮し、それぞれの技術の長所を生かしながら、利用シーンごとに使い分けていくことが重要だと考えています。 そこで、議員御指摘の低価格、低消費電力、長距離伝送等を長所とするLPWAの技術についても、活用されていく必要があると考えています。 県としては、さらに高度化が進む情報通信等のインフラ整備について、引き続き、国や市町村、通信事業者と連携しながら、確実に整備が進むよう、都市との格差解消に向けて取り組んでまいります。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) 生産性向上に向けたデジタル化の推進についてお答えします。 人口減少に伴う人手不足が懸念される中で、企業の生産性の向上は喫緊の課題であり、その解決策の一つとしてデジタル化を進めることは、県内の中小企業にとっても大変重要であると認識しております。 議員御指摘のとおり、公的支援機関がセミナーなどによる研修機会を提供することは、中小企業のデジタル化を進める上で効果的な支援であると考えており、県では、デジタル人材の育成等を目的とした取組を実施しています。 具体的には、まず、デジタル化に対する経営者の理解を深め、導入意欲の醸成を図るため、経営者向けの普及啓発セミナーを実施しています。 次に、現場でシステムの導入や運用を担う技術者に対しては、産業技術センターにおいて、産学官連携により作成したカリキュラムによる技術研修を行い、デジタル化を進める中核的人材を育成しています。 さらに、専門家を中心とした支援チームを県内企業に派遣し、個々の現場における課題の抽出やその解決策の提案を行うなど、現場での改善指導も行っています。 また、デジタル人材の育成と併せて、システムの導入や設備投資を行う企業に対しては、デジタル関連製品の製造販売企業とのマッチング相談会の開催や必要な機器を導入する際の経費の助成を行っています。 さらに、今年度は、デジタル関連製品の製造販売企業を対象に、県内企業への波及効果が見込まれるシステムの開発を支援する制度を創設しています。 今後とも、関係団体と連携を図りながら、県内企業のデジタル化を積極的に推進してまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) まず、デジタル担当理事に答弁いただきました。 本年度からデジタル戦略局が立ち上げられ、DCI指数は確実に上がっていくことになるだろうとは思います。県民が活用し、納得できるような形でぜひ進めてほしいと願います。 5Gの普及率が、各都道府県、90%普及予定が2025年、99%普及予定が2030年とあります。超高速通信である一方、電波が届く範囲が限られているという欠点もあるようです。フリーWi-Fiも、ここ2年で24%ほど増加しているとありますが、もうしばらくは時間が必要のようです。 都市と地方の格差是正がデジタル田園都市国家構想の本来の目的であると思いますので、用途やコストの面も考慮し、進めてほしいと願います。 また、低価格、低電力、長距離伝送のLPWAは、現在、玉名地域のミニトマトのハウスで実証が行われているようです。様々なデータ収集や遠隔操作などに活用されているようです。 ほかに、例えば、土地利用型のスマート農業を進めるに当たっては、モデル地区をつくり、LPWA通信を活用し、無人トラクターやドローンによる防除や、また、災害を受けやすい中山間地域にスマートフォンを活用した防災マップ情報や避難所にどれぐらいの人数が避難されているかなどに活用されてはいかがかと思います。 次に、商工労働部長に、中小企業、地場企業のデジタル化について答弁をいただきました。 まずは、経営者向けの啓発セミナーを実施し、経営者の理解の向上と導入意欲の醸成を図るということであります。また、技術者に対しては、産業技術センターで研修等を行い、デジタル化を進める人材育成を行い、設備投資やシステム導入をされるところには、マッチング相談会や機器導入の補助も行うということであり、ありがたく思います。 また、新たに県内企業への波及効果が見込めるようなシステム開発を行う企業には、新たに助成制度を創設するなど、県のデジタル化推進への本気度がうかがえると思います。 今回は、普及啓発や人材育成、導入モデルの形成、実装投資支援などのソフト対策の予算も組まれており、このような予算を活用し、ぜひとも県内企業のデジタル化を進め、人材不足の解消と地域活性化につなげ、熊本県の発展に役立ててほしいと願います。 それでは、次の質問に入ります。 空と海の港を生かした県内の今後の観光について。 長引くコロナの影響で、国内はもちろん、県内の観光業界も大きな打撃を受け続けています。 これまで、国や県も、GoToトラベルやGoToイートをはじめ様々な支援を行ってきましたが、コロナ感染の長期化への対応を優先し、政府としても感染防止を第一に取り組んできたのが現状ではないかと思います。 そのような中、岸田総理が、本日6月10日より、主要5空港に加え、新千歳、那覇空港からも、感染防止対策を徹底しながら外国人観光客を受け入れると発表されました。 添乗員同行のパッケージツアーを中心に、本県もインバウンド客の戻りが期待されるところですが、阿蘇くまもと空港では、当面は国内線のみの運航となるようです。 阿蘇くまもと空港は、運休が続いた昨年に比べ、4月以降は運休も減り、ゴールデンウイークなどは帰省客などの多くの利用があったようです。 このため、当分の間、国内線の振興が重要だと考えます。特に、昨年就航したFDA静岡線などは、コロナ禍での就航であったため、運航の状況が心配されるところであります。 そこで、質問に入ります。 現在の阿蘇くまもと空港の状況とFDA静岡線の対策状況を企画振興部長にお尋ねします。 次に、最近、熊本県にとりましてうれしいニュースがありました。県内の主要港であり、令和2年3月に完成したくまモンポート八代で、初めて豪華客船の「にっぽん丸」が発着クルーズを実施されました。 乗船当日のPCR検査で陰性が確認された245名で、2泊3日の屋久島の旅に出航されたということでありました。感染対策をしっかりされており、安心して旅行を満喫され、大変満足のいく旅だったと伺っています。 クルーズ船というと、2年前のダイヤモンドクルーズを思い起こしますが、その教訓を踏まえ、国が示したガイドラインに沿って、船会社が感染防止対策や感染者発生時の対応を徹底されているようです。 くまモンポート八代は、平成29年から3年をかけて、国、県、ロイヤル・カリビアン社の3者で岸壁や旅客ターミナル等を整備され、令和2年3月に、本県内で初めてクルーズ船専用の岸壁が完成しました。 それまで、年間最高65隻の外国クルーズ船が寄港していましたので、新しい港にはさらに多くのクルーズ船が寄港することを期待しましたが、コロナ禍での開港だったこともあり、開港以降の実績は、本年1月の「にっぽん丸」の初寄港と先月の初発着のクルーズ船の2隻にとどまっています。 株式会社リクルートのじゃらんリサーチセンターの新型コロナウイルス感染症の旅行市場への影響調査によると、2021年時点の潜在層を含めた旅行意欲は67.7%となり、前回調査から5.5ポイント増加しており、旅行に行きたいが様子を見ている人が46%を占めています。本年2022年春の旅行意欲は、年代別では60代、70代が前年調査から22.1ポイント増加と、大幅に増加傾向にあります。このように、国民の旅行意欲は確実に高まっている状況であります。 しかし、ワクチン接種者でも、旅行に行きたいが様子を見ている層と予定をしており気をつけながら行く層を合計すると、全体の56.2%を占めていることから、ワクチン接種後も、感染状況を見ながら、依然として慎重な行動を心がけていることが分かります。 国も船会社もガイドラインを徹底していますので、クルーズ旅行は、旅行者にも安心してもらえるのではないかと思います。 そこで、質問に入ります。 大型クルーズ船は、一度に大人数のお客様を運んできて、寄港地ツアーでの観光や食事、買物などでの消費も大きくなります。今後のクルーズ船の誘致に関する戦略について、観光戦略部長にお尋ねします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 阿蘇くまもと空港の状況とFDA静岡線の対策状況についてお答えをいたします。 阿蘇くまもと空港は、新型コロナの発生以降、減便や運休が続き、令和3年度の利用者数は約136万人となり、コロナ前の平成30年度の約346万人と比較すると、約4割の水準にとどまっています。また、国際線は、現在も全便が運休しています。 一方で、本年4月以降は、まん延防止等重点措置の解除などもあり、5月末時点で8路線40便の全便が運航しており、ゴールデンウイークの座席利用率は約7割と、コロナ禍においても多くの利用があったと認識しています。 次に、FDA静岡線の対策状況についてお答えいたします。 静岡線が就航した令和3年7月は、熊本、静岡両県で新型コロナの感染状況が落ち着いており、新規就航の割引運賃サービスの効果もあって、利用率は約6割と順調な滑り出しでした。 しかしながら、その後の新型コロナの感染拡大により移動制限がかかり、今年の年明けから利用が低迷しました。その後、利用が少し回復したものの、5月の時点で利用率は約4割となっています。 このような中、本県では、熊本国際空港株式会社はもとより、FDAや静岡県、富士山静岡空港株式会社も合わせた5者一体の取組により、路線の認知度向上や旅行商品の造成支援などの対策を講じてきました。 今年度も、マスメディアやSNSを活用した観光や食の情報発信、県内旅行会社等と連携した観光商品の販売など、FDA静岡線のさらなる利用促進に取り組んでまいります。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) 今後のクルーズ船誘致に関する戦略についてお答えします。 クルーズ船による観光は、大きな経済効果が期待できることから、これまで、官民連携により国際クルーズ拠点くまモンポート八代を整備するとともに、積極的にクルーズ船の誘致活動を行ってまいりました。 しかしながら、新型コロナの影響を受け、世界的にクルーズ船の運航は急速に縮小し、令和2年に、世界のクルーズ人口は前年の約2割にまで急減しました。 令和3年後半になって、地中海やカリブ海など欧米を中心にクルーズが再開されていますが、中国や香港、台湾から日本へのクルーズは、水際対策が緩和されておらず、現時点では再開の見通しは立っておりません。 一方、日本の国内線クルーズは、感染症対策を徹底した上で、徐々に運航が再開されています。 議員御紹介のとおり、県内では、本年1月に「にっぽん丸」が八代港へ寄港し、5月には、同じ「にっぽん丸」による八代港発着のクルーズが運航されました。さらに、9月には「飛鳥Ⅱ」の寄港も予定されるなど、誘致活動が実を結びつつあります。 このような状況も踏まえつつ、県では、今後、次の3つの方針で誘致活動を進めてまいります。 1つ目は、運航が再開した国内線クルーズを当面のメインターゲットに据え、寄港クルーズ、発着クルーズの両面から、国内の船会社や旅行会社へ集中的に誘致活動を行ってまいります。 また、県内各地への寄港地ツアーを設定しやすいよう、ツアーバスに対し、高速道路使用料の助成などの支援を行います。 2つ目は、平成30年2月に八代港クルーズ拠点形成協定を結び、パートナーとして共に歩んできたロイヤル・カリビアン社と一層の関係強化を図ります。これまでも定期的に会議を開催するなど良好な関係を築いてきており、外国船クルーズ再開の際には、確実に寄港いただけるよう、しっかりと働きかけてまいります。 3つ目は、ウィズコロナ、ポストコロナに対応した、小人数が乗船する海外の富裕層向けラグジュアリー船をターゲットにした誘致活動にも力を注いでまいります。 こうした誘致活動を積極的に進め、より多くの国内船クルーズ、そして、水際対策緩和時の外国船クルーズの寄港が実現するよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) まず、企画振興部長にお答えをいただきました。 本年4月以降はコロナの感染状況も落ち着いてきており、ゴールデンウイークは7割ほどの利用があったということで、これからは旅行やビジネスが増えてくるのではなかろうかと思っております。また、来年3月23日には、熊本地震からの創造的復興のシンボル、新ターミナルビルも完成し、にぎわいを取り戻すことを心から願っております。 次に、FDA静岡線については、両県はもとより、熊本国際空港株式会社やFDA、富士山静岡空港株式会社との連携をしっかり図っていただいて、利用していただくようにお願いいたします。 次に、観光戦略部長にクルーズ船のことで答弁いただきました。 9月には「飛鳥Ⅱ」の寄港も予定されているということで、非常に喜ばしいことではないかと思っております。まだまだ海外からのクルーズ船は予定がありませんが、しっかりと先ほど申されたロイヤル・カリビアン社との連携を図られてやっていってほしいと思います。また、ピンチからチャンスになる絶好の機会を捉えて、熊本県の発展にぜひつなげていってほしいと願います。 最後の質問に入ります。 地域防災力強化について。 本県を含む九州北部地方も、間もなく梅雨入りを迎えます。県では、梅雨本番を迎えるに当たり、様々な取組を進められていますが、再度県民の防災意識を高める意味でも、この質問をさせていただきます。 県南地域を中心に、67名の貴い命が失われ、依然として2名の方が行方不明となっている令和2年7月豪雨から、やがて2年になります。 令和2年7月4日未明から朝にかけて、県の南部を中心に観測史上1位の大雨となり、球磨川及び周辺の河川が氾濫し、甚大な被害が発生したことは記憶にも新しいところであります。被害総額は5,200億にも上り、現在も復旧、復興のつち音が響いています。 近年、地球温暖化の影響により、一度に大量の雨が降るようになっており、過去に経験したことがないような大雨、記録的な大雨という言葉を毎年のように耳にします。全国各地を見渡しても、梅雨期には大雨による災害が発生しており、大規模な災害が、いつ、どこで発生してもおかしくない状況であります。 このような中、自然災害からの被害を軽減するために、県や市町村など行政の力はもとより、県民一人一人が防災に対する意識を高め、地域一体となった取組を進めていくことが重要であると考えます。まさに地域防災力強化が必要です。 そこで質問です。 これから梅雨本番を迎えます。県では、これまでも、マイタイムラインの普及をはじめ、地域防災リーダーの育成や自主防災組織の活性化、防災訓練の実施など、自助、共助、公助の取組を進められていますが、さらなる地域防災力の強化に向けた新たな取組についてお尋ねします。 次に、気象庁では、昨年6月から線状降水帯の発生情報を発表しており、さらに、本年6月1日からは、線状降水帯の発生を事前に予測し、半日前から6時間前に発生予測情報を発表するようになりました。 この予測情報が的中するのは4回に1回程度であり、3回に2回程度は発生を予測できないとのことであるので、精度に課題もあるようですが、大雨が降る可能性があるという情報を活用することも大事だと思います。 そこで、2点目の質問に入ります。 今回新たに発表されることになった線状降水帯発生予測情報を、どのように活用していこうと考えているのか。 以上2点、知事公室長にお尋ねします。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) 1点目のさらなる地域防災力強化に向けた新たな取組についてお答えいたします。 まず、多様な住民ニーズに対応できる防災体制を構築するため、県防災会議の委員定数を増員する条例改正を行い、新たに高齢者や障害者、ボランティア団体などから12名の女性委員に就任いただきました。 先月開催した防災会議では、各委員から、経験に基づく避難所運営の改善や県民の防災意識を高める普及啓発手法などを提案いただき、活発な意見交換を行うことができました。 市町村との連携については、県地域防災計画を改正し、土砂災害警戒情報が発表されるなど、災害の発生のおそれがある段階で、県から市町村にプッシュ型で情報連絡員を派遣し、初動体制の強化を図りました。 また、昨年から、全市町村を対象に、警察、自衛隊などの関係機関と連携した豪雨対応訓練を実施していますが、今年から新たに住民や報道機関も参加するなど、より実践的なものとしました。 訓練の様子は、九州各県の防災担当者にも公開しましたが、各県からは先進的な訓練として高く評価されており、過去の災害経験を生かした訓練ノウハウを九州全体に広げることで、災害に対する安全保障に貢献してまいります。 さらに、今後の大規模な災害を想定した場合、天草地域では、大型船舶を使った海上からの救助部隊や物資の輸送が効果的です。 このため、天草地域内で最大水深を有する九州電力苓北発電所の岸壁の使用等に関して、今月3日に協定を締結しました。 今後も、様々な課題を踏まえ、随時見直しを図りながら取組を進めてまいります。 2点目の気象庁が発表する線状降水帯発生予測情報の活用についてですが、現時点では九州北部地方などの広範囲の予測であり、県単位の予測情報は、2年後の令和6年から発表される予定です。 現時点では広範囲の予測ですが、予測情報が発表された場合、県内でも相当量の大雨が降る可能性があります。このため、発表された際は、気象台から情報を収集しながら、早い段階から市町村と連携し、空振りを恐れず、避難所の開設準備や住民への予防的避難の呼びかけを行うなど、有効活用してまいります。 県では、県民の安全、安心の確保に向けて、市町村や関係機関と連携を密にして、地域防災力の強化にしっかりと取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 知事公室長にお答えいただきました。 一昨年の県南豪雨災害を経験し、県及び市町村の危機管理体制の重要さは十分認識されていると思いますが、その上でさらに地域防災力を高めていくことが重要だと思います。 また、県の防災会議では、12人の女性委員が就任されたということで、様々な提案があったということで、ぜひ今後に生かしてほしいと思います。 県と市町村の連携は、災害発生が高まったときに、県から市町村にプッシュ型で連絡員を派遣する初動体制の強化を図られたということで、災害に対する安全保障の強化につながることと評価します。 次に、線状降水帯の発生予測情報伝達は、気象台からの情報を収集しながら市町村と連携を図っていくということでありますが、スピード感を持って進めてほしいと願います。そのことにより、市町村の避難所開設の早めの準備が可能になると思います。 線状降水帯の予測は、確率的にはまだ十分とは言えませんが、2年後には県単位で半日前から予測ができるということで、令和11年には市町村単位での危険度の把握が発表できるということで、まだまだもうちょっと時間がかかりますが、精度を上げていくには、データ収集のためにもう少し時間がかかるようですが、かなり細やかな情報を得られることになるということです。 ただ、幾ら正確な情報があっても、本人の危機意識が高くなければ意味がありませんので、早めに避難することが被害に遭わない最も大切なことになると思うので、今後も県民の安全、安心のためにぜひ取り組んでいってほしいと願います。 これで準備していた質問は終わります。 皆さんと同じように、未来の子供たちのために、今後もしっかり頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後まで御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明11日及び12日は、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る13日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第5号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後0時7分散会...